韓国、重大な動物虐待に裁判所が最長5年の飼育禁止命令——改正動物保護法を公布、2027年10月施行
韓国で2026年10月27日、改正動物保護法が公布されました。動物を殺したり傷つけたりするなど、重大な虐待の罪を犯した人に、裁判所が最長5年間、動物を飼うことを禁じる命令を出せるようになります。施行は1年後の2027年10月28日です。
日本の動物愛護法には、虐待をした人に飼育を禁じる仕組みがありません。今月には公益財団法人どうぶつ基金が、飼養禁止命令の新設を含む法改正を求めて署名を始めています。隣の国で先に形になった、虐待した人に飼育を禁じる制度の中身と、日本の今の法律との違いをまとめました。
本記事の情報源
韓国農林畜産食品部(日本の農林水産省にあたる省)の報道資料と、日本の動物愛護法の条文(e-Gov法令検索)をもとに、日本の読者向けにまとめています。
原文:동물학대 재발 막고, 동물보호망 확충한다 「동물보호법」 개정안 공포(韓国農林畜産食品部、2026年10月26日)
執筆:ペトログ編集部
目次
何が変わるのか
| 項目 | 変わること |
|---|---|
| 飼育禁止命令 | 動物を殺したり傷つけたりするなど、重大な虐待の罪を犯した人に、裁判所が最長5年間の飼育禁止を命じられる |
| 虐待された動物の保護 | 飼い主が虐待の罪で起訴されたら、判決が確定するまで、その動物の保護の期間を延ばせる |
| 譲渡の制限 | 虐待の罪で刑を受けた人は、一定の期間、自治体から動物を譲り受けられない |
| 飼い方の義務違反 | 適切に飼う義務を守らなかったときに、100万ウォン以下の過料を科せる |
| 遺棄の範囲 | ペットホテルなどの預かり業者や動物病院に預けた動物を、引き取りに来ないことも遺棄にあたると明記 |
| 保護の対象 | 災害や、飼い主の死亡・行方不明で置き去りになった動物も、自治体が保護できる |
| 繁殖業 | ペットの繁殖業の許可を、5年ごとに更新する制度にする |
| 保護施設を装った販売 | ペット関連の業者が保護施設に似た名前を使ったり、そう見える広告をしたりすることを制限する。業者でない人が、もうけ目的で動物を譲ったり引き取ったりすることも禁じる |
出典:韓国農林畜産食品部「동물보호법 개정안 공포」(2026年10月26日)
このほか、猛犬を飼う許可の見直しや、かみつき事故を登録情報に記録できるようにすることも盛り込まれました。軍用犬・救助犬・探知犬などの奉仕動物の飼い主を国や自治体が支援できるようにし、引退した奉仕動物のための支援センターを設けられる根拠もあります。2026年4月27日より前から運営している民間の保護施設に、農地を別の用途に一時的に使うことを認める特例だけは、公布と同時に施行済みです。
虐待した人の手に、次の動物が渡らないようにする
今回の改正の柱は、虐待を繰り返させないための仕組みづくりにあります。裁判所が出す飼育禁止命令は、動物を殺す、傷つけるといった重大な虐待が対象で、期間は最長5年と定められました。
あわせて、虐待の罪で刑を受けた人は、自治体から動物を譲り受けることもできなくなります。期間は、罰金以上の刑の執行が終わるか免除された日から5年、執行猶予の場合はその猶予の期間です。
虐待された動物の扱いも変わります。飼い主が虐待の罪で起訴された場合、判決が確定するまで、その動物を保護しておける期間を延ばせることになりました。
農林畜産食品部の動物福祉政策局長は、飼育禁止制度の導入などは「動物保護団体と現場が求め続けてきたこと」だと話しています。
動物が死んだりけがをしたりする前でも、飼い方の義務違反に過料
これまでの韓国の制度では、2m未満の短いつなぎで飼ったり、厳しい暑さや寒さをしのげる場所を用意しなかったりしても、動物が死ぬかけがをしない限り、虐待とは認められませんでした。
改正後は、こうした適切に飼う義務を守らなかった時点で、100万ウォン以下の過料を科せるようになります。動物が傷つく前の段階で、飼い方を正させるための改正です。
保護施設を装ってペットを売る「新種ペットショップ」も規制
韓国では、保護施設のように見せて動物を売ったり、飼い主が手放した動物を引き取って売り直したりする店が「新種ペットショップ」と呼ばれ、問題になってきました。改正法は、ペット関連の業者が保護施設に似た名前や広告を使うことを制限し、業者でない人がもうけ目的で動物を譲ったり引き取ったりすることを禁じています。
ペットの繁殖業は、一度許可を受ければずっと営業できる仕組みから、5年ごとに施設や人員の基準を確かめて許可を更新する仕組みに改められました。
日本の動物愛護法ではどうなっているか
| 項目 | 韓国(改正後) | 日本(今の動物愛護法) |
|---|---|---|
| 虐待した人の飼育禁止 | 裁判所が最長5年の飼育禁止を命じられる | 規定はない |
| 虐待された動物の保護 | 飼い主が起訴されたら、判決の確定まで動物の保護を延長できる | 都道府県知事にできるのは、指導・助言、勧告、命令、報告の徴収、立入検査まで(第25条)。動物を飼い主から引き離して保護する規定はない |
| 繁殖業などの許可・登録 | 繁殖業の許可を5年ごとに更新 | 第一種動物取扱業の登録は5年ごとに更新(第13条) |
日本の動物愛護法には、動物を殺したり傷つけたりした人(5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、第44条第1項)が、刑を終えたあとにまた動物を飼うことを止める規定がありません。どうぶつ基金が10月に始めた署名では、危険なときに飼い主の同意を待たずに動物を一時的に保護する権限と、改善も引き取りもないときの飼養禁止命令・所有権の移転を求めています。署名の中身と、日本の法律で今できること・できないことは、どうぶつ基金が動物愛護法の改正を求める署名を開始|「所有権の壁」とは何か、今の法律でできないことで解説しました。
さいごに
虐待で刑を受けた人のもとに、また新しい動物が渡ってしまう。日本の今の法律では、それを止められません。ペトログは、動物の命を守るために、日本にも飼育禁止の仕組みが必要だと考えます。韓国の改正は、その議論の具体的な手本です。
命令の手続きや運用の細かい決まり(下位法令)は、施行までに韓国政府が整えます。動きがあれば、この記事に追記する予定です。
身近で虐待が疑われる動物を見かけたときの相談先は、動物愛護法とは|罰則と飼い主の義務をわかりやすく解説にまとめました。
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出典
- 韓国農林畜産食品部「동물학대 재발 막고, 동물보호망 확충한다 「동물보호법」 개정안 공포」(2026年10月26日)(2026-10-27確認。公布10月27日、施行2027年10月28日、飼育禁止命令は最長5年、譲渡の制限、過料100万ウォン以下、遺棄の範囲、保護対象の拡大、繁殖業の5年更新、新種ペットショップの規制)
- e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」(2026-10-27確認。第13条、第25条、第44条第1項。虐待をした人の飼養を禁じる規定はない)
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