うさぎ・ハムスター・モルモットのケージに数値基準、環境省が省令を改正——ふれあいのルールは犬猫にも(2027年6月施行)
2026年10月15日、環境省は、ペットショップなど動物を扱う事業者が守る飼育の基準を改正し、うさぎ・ハムスター・モルモットのケージの広さに数値の基準を設けました。施行は2027年6月1日で、ふれあいのルールは犬猫にも新たに適用されます。
店頭のうさぎやハムスターのケージを見て、あの広さで足りているのか気になったことがある方も多いのではないでしょうか。この記事では、決まったケージの広さや展示時間と、犬や猫にも広がるふれあいのルールを、詳しく分かりやすく解説します。
ポイントは2つです。1つは、うさぎ・ハムスター・モルモットのケージの広さが、体の長さをもとに数字で決まったこと。もう1つは、動物が逃げ込める場所の確保や手指の消毒など、お客さんとのふれあいのルールが犬や猫にも新たに適用されることです。
執筆:ペトログ編集部
この記事でわかること
- うさぎ・ハムスター・モルモットのケージの広さの決まり方
- 犬や猫にも新たに適用される、ふれあいのルール
- これまでの基準や犬猫の基準との違い(表)
環境省が10月15日に省令を改正、2027年6月1日に施行
環境省は2026年10月15日、動物を扱う仕事をする事業者が守る飼育・管理の基準を定めた省令(基準省令)を改める省令(令和8年環境省令第28号)を公布しました。基準省令は、動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)第21条にもとづく省令です。
対象は、ペットショップやブリーダー、ふれあい施設など、動物を売ったり展示したりする仕事をする事業者(第一種動物取扱業者)と、営利を目的とせずに一定数以上の動物の譲渡などを行う団体など(第二種動物取扱業者)です。同じ基準省令が定める犬猫の健康管理のルールは、大阪のペットショップ無資格注射事件の記事で紹介しています。
今回の改正は、犬と猫以外の哺乳類の基準を具体的に定めるものです。施行日は2027年6月1日です。ただし、ケージの広さは、すでに登録や届出をしている事業者には1年間の準備期間(経過措置)があり、2028年6月1日から適用されます。環境省は、事業者や都道府県・市の職員向けの解説資料「守るべき基準のポイント」もあわせて公表しました。
出典:環境省(2026年10月15日発表)/添付資料1 改正省令の概要(PDF)/添付資料2 改正省令(PDF)
うさぎ・ハムスター・モルモットは「頭胴長」でケージの広さが決まる
改正後の基準省令は、うさぎ、ハムスター、モルモットの3種について、鼻先から尾の付け根までの長さ(頭胴長)をもとに、ケージの最低限の広さを数字で定めました。複数で飼う場合は、いちばん頭胴長が長い個体が基準です。
- うさぎ:縦が頭胴長の2倍以上、横が1.5倍以上、高さが1.7倍以上
- ハムスター:1頭なら床面積が頭胴長の2乗の7.5倍以上、高さが2倍以上。2頭目からは1頭ごとに頭胴長の2乗の2.5倍以上を足す
- モルモット:1頭なら床面積が頭胴長の2乗の6倍以上、高さが1.5倍以上。2頭目からは1頭ごとに頭胴長の2乗の2.25倍以上を足す
解説資料の計算例では、頭胴長20cmのうさぎなら、縦40cm以上・横30cm以上・高さ34cm以上です。頭胴長ごとの早見表もあります。解説資料は、3種の広さを「必要最低限の基準として定めたもの」とし、「可能な限り当該基準を上回る広さのケージを用いて飼養する必要がある」としています。
チンチラやフェレットなど3種以外の哺乳類は、数字ではなく、立ち上がる・横たわるといった日常の動作を楽にできる十分な広さ、という決まりです。なお解説資料には、うさぎ・チンチラ・デグー・ヨツユビハリネズミ・フェレットの広さの推奨値も、推奨事項として載っています。
出典:環境省 添付資料1 改正省令の概要(PDF)/環境省 添付資料3 解説資料「守るべき基準のポイント」(PDF)
お客さんとのふれあいのルールは、犬や猫にも新たに適用
ペットショップで子犬や子猫を抱かせてもらう場面も、ふれあい施設でうさぎをなでる場面も対象です。お客さんと動物がふれあう場面(基準省令の言葉では「顧客等との接触」)のルールが増え、改正の概要には、次の5つについて「新たに犬猫も含めて義務付ける」と書かれています。
- ごく短い時間を除き、動物が接触を避けられる場所(逃げ込める場所)をいつも確保する
- ふれあう前に、文書か口頭で、さわり方をお客さんが理解したことを確かめる
- ふれあいの前後に、お客さんに手指などを消毒してもらう
- 幼すぎる動物、過度なストレスがかかるおそれのある動物、人と動物の共通感染症にかかっている動物をふれあいに使わない
- 動物やお客さんの数、場所の広さなどに応じ、不適切なさわり方にすぐ対応できる人数の職員を置く
これまでも、さわり方の指導と適度な休息は、犬猫を含むすべての動物の決まりでした。今回の5つは、その上に加わります。また、夜間(午後8時〜午前8時)のふれあいや引き渡しをしない決まりは、これまで犬と猫だけでしたが、改正後は特別な事情がない限り、うさぎなどほかの哺乳類も夜間のふれあいや引き渡しができなくなります。
出典:環境省 添付資料1 改正省令の概要(PDF)/e-Gov法令検索「基準省令」(令和3年環境省令第7号)第2条第7号
展示時間、温度計・湿度計、運んだ後の観察も具体的に
哺乳類を飼う施設には温度計と湿度計を備えることが義務になり、自然の光や照明で、日の長さの変化に合わせた光の管理も求められます。
犬と猫以外の哺乳類の展示は、原則として午前8時から午後10時までの間で、1日12時間までです。長く続けて展示するときは、休める場所へ自由に移動できるようにし、難しければ6時間ごとに展示しない時間を設けます。
売ったり貸し出したりするために運んできた哺乳類は、2日間以上、下痢やおう吐など外から分かる様子を目で見て確かめます。体調が悪くなったときは特別の事情がない限り獣医師の診療を受けさせること、繁殖に適さない個体を繁殖させないことなども盛り込まれました。
出典:環境省 添付資料1 改正省令の概要(PDF)/環境省 添付資料2 改正省令(PDF)
背景:2019年の法改正から、犬猫の次に哺乳類の基準へ
2019年6月に公布された動物愛護法の改正を受けて、基準省令は2021年4月1日に公布、6月1日に施行されました。このとき具体的に定められたのは犬と猫の基準で、犬と猫以外の哺乳類、鳥類、爬虫類の基準は、順次検討を進めることとされていました。
解説資料によると、2021年1月7日の中央環境審議会の答申でもこれらの基準は今後検討を進めるとされ、2022年から犬猫以外の哺乳類の検討が進められました。2026年7月23日の第66回中央環境審議会動物愛護部会では、その答申案が議題とされていました。鳥類と爬虫類の基準は、今回の改正に含まれていません。
出典:環境省(2026年10月15日発表)/環境省 添付資料3 解説資料(PDF)/環境省「中央環境審議会動物愛護部会(第66回)の開催について」(2026年7月16日発表)
これまでとどう変わるか|犬猫以外の哺乳類と犬猫の基準を比較
2021年の基準省令と今回の改正を、犬猫の基準と並べました。ふれあいのルールは、犬猫の欄も変わります。
| 項目 | これまで(犬猫以外の哺乳類) | 2027年6月1日から(犬猫以外の哺乳類) | 犬・猫 |
|---|---|---|---|
| ケージの広さ | 日常の動作を楽にできる十分な広さ(数字なし) | うさぎ:縦2倍・横1.5倍・高さ1.7倍以上/ハムスター:床面積が頭胴長の2乗×7.5以上・高さ2倍以上/モルモット:床面積が頭胴長の2乗×6以上・高さ1.5倍以上(いずれも頭胴長が基準)。ほかの哺乳類は数字なし | 犬:縦が体長の2倍・横1.5倍以上、高さが体高の2倍以上/猫:縦が体長の2倍・横1.5倍以上、高さが体高の3倍以上で2段以上(2021年から) |
| ケージの広さの決まりが既存の事業者に適用される時期 | ― | 2028年6月1日から(施行から1年間は適用しない) | 2021年の施行から1年間は適用しなかった |
| 温度計・湿度計 | 備え付けの定めなし | 備え付けが義務に | 備え付けが義務(2021年から) |
| 展示の時間 | 時間帯の定めなし。長時間の展示は必要に応じて途中で休み | 原則8時〜22時、1日12時間まで。休める場所へ移動できないときは6時間ごとに休み | 8時〜20時(一定の条件を満たす成猫〔特定成猫〕は22時まで・12時間まで)。休める場所へ移動できないときは6時間ごとに休み |
| 運んだ後の観察 | 定めなし | 2日間以上、目で見て観察 | 2日間以上、目で見て観察(2021年から) |
| 繁殖 | 幼い・高齢の動物などを繁殖に使わない、母体に過度な負担をかけないなど(動物全般の決まり) | 加えて、必要に応じ獣医師の診療・助言を受ける。繁殖に適さない個体は繁殖させない。年齢・回数の数字はなし | 獣医師の診療・助言、繁殖に適さない犬猫は繁殖させない。犬は生涯出産6回まで・雌の交配は6歳以下、猫は雌の交配6歳以下(いずれも条件付きで7歳以下) |
| 職員1人あたりの頭数 | 職員の数に見合った数(数字なし) | 変更なし(数字なし) | 犬20頭・猫30頭まで(繁殖に使う犬は15頭・猫は25頭まで) |
| 夜間のふれあい・引き渡し | 定めなし | 特別な事情がない限りしない | しない(2021年から。特定成猫には例外あり) |
| お客さんとのふれあい | さわり方の指導、適度な休息(動物全般の決まり) | 加えて、逃げ込める場所の確保、さわり方の事前確認、手指の消毒、幼すぎる動物などを使わない、必要な人数の職員 | 同じ5つの決まりが新たに適用(2027年6月1日から) |
注:環境省の改正省令の概要(添付資料1)と改正省令(添付資料2)、e-Gov法令検索で2026年10月16日に確認した基準省令(令和3年環境省令第7号)の条文と附則をもとに、ペトログ編集部が要約したものです。「これまで」は2026年10月16日時点の基準省令です。
ペトログ編集部の視点
この基準は事業者が守るもので、家庭で飼う人への義務ではありません。それでも、頭胴長から広さを考える方法は、家庭でケージを選ぶときの目安になると編集部は考えます。解説資料が「必要最低限」としている点も、余裕のある広さを選ぶ手がかりです。
ふれあいのルールが犬猫にも広がり、哺乳類なら犬も猫もうさぎも同じ手順でふれあうことになります。一方で、職員1人あたりの頭数や生涯の出産回数のように、犬猫には数字があり、犬猫以外の哺乳類には今回も数字が設けられなかった項目もあります。続報があれば追記します。
飼い主さんが今できること
- うさぎ・ハムスター・モルモットと暮らしている方は、解説資料の計算例や早見表で、今のケージの広さを確かめてみましょう。
- 動物にさわるときは、施設の案内に沿って手指を消毒し、さわり方の説明を聞いてからふれあうのがおすすめです。
- 動物の扱いで気になることがあれば、店や施設を登録した都道府県や政令指定都市の動物愛護の担当(保健所・動物愛護センターなど)に問い合わせることができます。店内の標識で登録番号を確かめておくと伝えやすくなります。
まとめ
この記事の要点
- 環境省は2026年10月15日、犬と猫以外の哺乳類の飼育基準を定めた改正省令を公布。施行は2027年6月1日(既存の事業者のケージの広さは2028年6月1日から)
- うさぎ・ハムスター・モルモットのケージは、頭胴長をもとに最低限の広さが決まった。展示は原則8時〜22時・1日12時間まで
- 逃げ込める場所の確保や手指の消毒など、ふれあいのルールは犬猫にも新たに適用される
動物愛護法の仕組みを確かめる
事業者の基準のもとになっている動物愛護法の、飼い主の責務や罰則、2019年の改正で変わった点は、動物愛護法とは|罰則と飼い主の義務をわかりやすく解説にまとめています。
出典
- 環境省「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令の一部を改正する省令の公布等について」(2026年10月15日)(2026-10-16確認)
- 環境省 添付資料1「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令の一部を改正する省令(概要)」(PDF)(2026-10-16確認)
- 環境省 添付資料2「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令の一部を改正する省令」(令和8年環境省令第28号、PDF)(2026-10-16確認)
- 環境省 添付資料3「動物取扱業における犬猫以外の哺乳類の飼養管理基準の細部解釈と運用指針~守るべき基準のポイント~」(PDF)(2026-10-16確認)
- e-Gov法令検索「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」(令和3年環境省令第7号)(2026-10-16確認)
- 環境省「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」(令和3年環境省令第7号、附則を含む公布時の本文、PDF)(2026-10-16確認)
- 環境省「中央環境審議会動物愛護部会(第66回)の開催について」(2026年7月16日)(2026-10-16確認)
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