動物愛護法とは|罰則と飼い主の義務をわかりやすく解説
動物愛護法(正式名称:動物の愛護及び管理に関する法律)は、動物の虐待や遺棄を禁じ、飼い主の責任を定めた法律です。この記事では、飼い主に求められることと罰則を、条文に沿ってわかりやすく解説します。
動物虐待のニュースを見て、何が動物愛護法違反になり、どれほど重い罰則があるのかを知りたい方に向けて書きました。身近で気になる飼い方を見かけて、法律ではどう扱われるのかを確かめたい方にも、条文を読まなくても分かる形で整理しています。これから犬や猫を迎える方は、飼い主に求められることの確認にもお使いください。
最初に押さえておきたいのは、「飼い主として努めること」と「罰則のある禁止行為」が別々の条文にあることです。前者は第7条、後者は第44条にあたります。この2つを軸に、2019年の改正で変わったことと、虐待を見かけたときの相談先まで順に見ていきましょう。
執筆:ペトログ編集部
この記事でわかること
- 動物愛護法が定めていることと、対象になる動物
- 飼い主に求められること(第7条)
- 罰則のある行為と、刑の重さ(第44条)
- 2019年の改正で変わった点
- 虐待を見かけたときの相談先
動物愛護法とは
動物愛護法という名前は知っていても、中身まで読んだことのある方は少ないかもしれません。「動物愛護法」は通称で、正式には「動物の愛護及び管理に関する法律」といいます。環境省は「動物愛護管理法」と略しており、どちらも同じ法律のことです。
制定されたのは1973年(昭和48年)で、当時は「動物の保護及び管理に関する法律」という名前でした。1999年(平成11年)の改正で今の名称に変わり、その後も2005年、2012年、2019年と大きな改正を重ねています。
動物愛護法には2本の柱があります。1つは動物を虐待や遺棄から守る「愛護」、もう1つは動物が人に危害や迷惑を及ぼさないようにする「管理」です。第1条は、この2つを通じて「人と動物の共生する社会」を実現することを目的に掲げています。
対象は犬や猫に限られません。家庭のペットのほか、動物園などの展示動物、畜産動物、実験動物といった、人が飼っている動物が広く含まれます。なお、罰則で守られる動物は「愛護動物」として別に決められているので、あとの章で詳しく見ていきましょう。
動物愛護法で飼い主に求められていること(第7条)
法律と聞いて身構える必要はありません。第7条に書かれているのは、愛犬や愛猫と暮らすうえでの基本ばかりです。条文の言葉を、日常の場面に置き換えてみました。
| 条文 | 条文の言葉 | 日常でいうと |
|---|---|---|
| 第7条第1項 | 種類・習性に応じた適正な飼養、健康と安全の保持 | その子に合った食事・水・居場所を用意し、体調を気にかける |
| 第7条第1項 | 人の生命・身体・財産への害、生活環境への支障、迷惑の防止 | かみつきなどの事故を防ぎ、鳴き声やにおい、抜け毛で周りを困らせない |
| 第7条第2項 | 動物に起因する感染性の疾病の知識と予防 | 動物から人にうつる病気を知り、予防に気を配る |
| 第7条第3項 | 逸走の防止 | 玄関や窓からの飛び出し、散歩中の脱走を防ぐ |
| 第7条第4項 | 終生飼養 | 命を終えるまで、責任をもって飼う |
| 第7条第5項 | 繁殖に関する適切な措置 | 世話しきれないほど増えないよう、不妊去勢手術などを考える |
| 第7条第6項 | 所有者を明らかにする措置 | マイクロチップなどで、自分の子だと分かるようにする |
注:「条文の言葉」は第7条の各項を要約したもの、「日常でいうと」は条文と環境省の解説をもとにペトログ編集部が言い換えたものです。
これらはいずれも「努めなければならない」と書かれた努力義務で、第7条そのものに罰則はありません。ただし、世話を放棄して衰弱させたり、飼えなくなって捨てたりすれば、次の章で説明する虐待や遺棄にあたり、刑罰の対象になります。
犬と猫の飼い主には、もう一歩踏み込んだ決まりもあります。繁殖して適正に飼えなくなるおそれがあるときは、不妊去勢手術などの措置を「講じなければならない」と第37条に定められています。また、多くの頭数を飼う人に届出を求める条例を置いている自治体もあるため(第9条)、お住まいの地域のルールを確かめておくと安心です。
マイクロチップの装着と登録が義務づけられているのは、ペットショップやブリーダーなどの販売業者です(第39条の2第1項、第39条の5)。飼い主の義務は変更登録です。登録証明書とともに犬や猫を譲り受けた人は、迎えた日から30日以内に登録を自分の情報へ変更しなければなりません(第39条の6)。迎えた先が保護団体や個人でも、登録済みで証明書を受け取ったなら手続きは同じです。チップの入っていない保護犬・保護猫を迎えた場合、装着は努力義務です(第39条の2第2項)。
動物愛護法違反になる行為と罰則(第44条ほか)
ニュースで耳にする「動物愛護法違反」の多くは、第44条に関わるものです。禁止されている行為は「殺す・傷つける」「虐待」「遺棄」の3つに分かれ、それぞれ刑の重さが決まっています。
| 行為 | 具体的には | 条文 | 罰則 |
|---|---|---|---|
| 殺す・傷つける | 愛護動物をみだりに殺す、傷つける | 第44条第1項 | 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金 |
| 虐待(暴行など) | みだりに、外傷が生じるおそれのある暴行を加える。そのおそれのある行為をさせる | 第44条第2項 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 虐待(世話の放棄。いわゆるネグレクト) | みだりに給餌・給水をやめる、酷使する、健康や安全を保てない場所に拘束する、過密な状態で飼うことで衰弱させる。病気やけがをした子を適切に保護しない。排せつ物がたまった施設や、ほかの動物の死体が放置された施設で飼う | 第44条第2項 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 遺棄 | 愛護動物を捨てる | 第44条第3項 | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 改善命令に従わない | 鳴き声や悪臭などで周辺の生活環境を損ねたとき、または虐待のおそれがある飼い方をしたときに出される、都道府県知事の命令に違反する | 第25条第3項・第4項、第46条の2 | 50万円以下の罰金 |
注:罰則は、2026年10月13日にe-Gov法令検索で確認した現行の条文(令和8年6月5日施行)によります。「具体的には」は条文を要約したものです。
条文に何度も出てくる「みだりに」は、正当な理由がないのに、という意味合いの言葉です。そのため、治る見込みのない病気やけがでひどく苦しんでいる動物を、できる限り苦痛の少ない方法で死なせる場合のように、正当な理由があれば虐待にはあたりません。
表の中でとくに知っておいてほしいのが、3行目です。たたく、蹴るといった行為に加えて、ごはんや水を与えない、病気やけがを放っておく、不衛生な場所で飼い続けるといった「必要な世話をしないこと」も虐待に含まれます。環境省は、こうした行為をいわゆるネグレクトと呼んでいます。
動物愛護法の罰則で守られる「愛護動物」は、第44条第4項で2つのグループに分けられています。1つ目は牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひるの11種類で、飼い主がいるかどうかは問われません。したがって、飼い主のいない猫を傷つけた場合も罰則の対象です。2つ目は人が飼っている哺乳類・鳥類・爬虫類で、ハムスターやインコ、カメも家で飼っていれば愛護動物にあたります。
「飼えなくなったから」と公園や山に置いてくることも、遺棄という犯罪です。事情が変わって飼い続けるのが難しくなったときは、捨ててしまう前に、お住まいの自治体の動物愛護担当窓口へ相談しましょう。
2019年の動物愛護法改正で何が変わったか
今の罰則の重さは、2019年(令和元年)6月に公布された改正で決まりました。改正の中身は、3回に分けて施行されています。
| 施行日 | 主な内容 |
|---|---|
| 2020年6月1日 | 殺傷・虐待・遺棄の罰則を引き上げ。虐待にあたる行為の例示を拡大。犬猫の繁殖制限を義務に(第37条)。獣医師による虐待の通報を義務に(第41条の2)。1頭の飼育でも、周辺の生活環境を損ねれば指導などの対象に(第25条) |
| 2021年6月1日 | ペットショップやブリーダーなどの事業者が守る基準を具体化(第21条)。生後56日を経過しない犬猫の販売制限について、経過措置を廃止 |
| 2022年6月1日 | 販売される犬猫へのマイクロチップの装着と登録を義務に(第39条の2ほか) |
注:改正法は令和元年法律第39号(2019年6月19日公布)。施行日と内容は、環境省「令和元年に行われた法改正の内容」によります。
飼い主にいちばん関わるのは、罰則の引き上げです。殺傷の刑の上限は2年から5年へ、罰金の上限は200万円から500万円へと重くなりました。虐待と遺棄も、それまでの100万円以下の罰金のみから、1年以下の刑が加わっています。
なお、改正当時の条文には「懲役」と書かれていましたが、2025年6月1日からは「拘禁刑」に改められました。古い資料に「5年以下の懲役」とあっても、刑の上限そのものは変わっていないので、今の条文の言葉に読み替えてください。
違反を見つけたときはどうするか
虐待かもしれない場面を見かけたときの相談・通報先は、2つあります。発見した場所の自治体(都道府県・指定都市・中核市)の動物愛護担当窓口と、警察です。緊急のときは110番に通報してください。はっきりした証拠がなく「虐待かもしれない」という段階でも、自治体に相談できます。一人で抱え込まず、環境省の地方自治体動物虐待等通報窓口一覧から、お住まいの地域の連絡先を探してみましょう。
実際にどのような行為が事件になり、その後どう扱われたかは、動物愛護法違反の事件一覧にまとめています。
自治体や警察に伝えても動きがないとき、告発につなげたいときには、特定非営利活動法人どうぶつ弁護団に情報を寄せる方法があります。動物虐待の事件に長く取り組んできた弁護士が中心となって立ち上げたNPO法人で、役員7名のうち6名が弁護士、1名が獣医師です。専用フォームで受け付けた情報をもとに事実関係と証拠を整理し、告発できると判断した事案について、法人みずから告発状を作って警察や検察に提出します。情報提供者の代理人になったり、個別に法的な助言をしたりする団体ではなく、寄せた情報がすべて告発に至るわけではありません。
動物は、自分で被害を訴えることができません。その代わりに法律の専門家が声を上げる仕組みは、虐待をなくすために欠かせないと考え、ペトログはどうぶつ弁護団を応援しています。2026年8月29日〜9月6日にペトログが主催したチャリティーイベント「THE CHARITY」では、支援先の一つとして出展していただきました。活動は賛助会員として支えることができます。
よくある質問
Q. 動物愛護法とは簡単にいうと?
A. ひとことで言うと、動物を虐待や遺棄から守り、飼い主や動物を扱う事業者の責任を定めた法律です。飼い主には終生飼養や脱走の防止などが求められ、愛護動物を殺傷・虐待・遺棄した人には拘禁刑や罰金が科されます。
Q. 動物愛護法はいつからありますか?
A. 1973年(昭和48年)からあります。当初は「動物の保護及び管理に関する法律」という名前で、1999年(平成11年)の改正で今の名称になりました。
Q. 動物愛護管理法と動物愛護法は違う法律ですか?
A. いいえ、同じ法律です。正式名称は「動物の愛護及び管理に関する法律」で、環境省は「動物愛護管理法」と略しています。「動物愛護法」も、この法律を指す通称です。
Q. 動物愛護法で一番重い罪は何ですか?
A. 愛護動物をみだりに殺したり、傷つけたりする行為です。第44条第1項で5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金と定められており、この法律の罰則のなかで拘禁刑の上限がもっとも長くなっています。
Q. 猫を捨てるのは動物愛護法違反ですか?
A. はい、違反です。猫は愛護動物にあたり、捨てる行為は遺棄として1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります(第44条第3項)。飼い続けるのが難しくなったときは、捨ててしまう前に自治体の動物愛護担当窓口へ相談しましょう。
Q. 動物愛護法はどこまで適用されますか?
A. 罰則で守られる「愛護動物」は、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひるの11種類と、人が飼っている哺乳類・鳥類・爬虫類です。11種類は飼い主がいるかどうかを問わないので、飼い主のいない猫も対象に含まれます。
まとめ
- 動物愛護法は、動物を虐待や遺棄から守り、飼い主の責任を定めた法律
- 飼い主に求められるのは、適正な飼い方、迷惑や脱走の防止、終生飼養など(第7条)
- 殺傷は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、虐待・遺棄は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第44条)
出典
- 法令:e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」(昭和48年法律第105号)(2026年10月13日確認。令和8年6月5日施行の現行条文)
- 環境省:動物愛護管理法(法のあゆみ)(2026年10月13日確認)
- 環境省:動物愛護管理法の概要(2026年10月13日確認)
- 環境省:令和元年に行われた法改正の内容(2026年10月13日確認)
- 環境省:動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の概要(PDF)(2026年10月13日確認)
- 環境省:虐待や遺棄の禁止(2026年10月13日確認)
- 環境省:地方自治体動物虐待等通報窓口一覧(2026年10月13日確認。掲載は令和8年5月現在)
- どうぶつ弁護団:特定非営利活動法人どうぶつ弁護団 公式サイト(2026年10月13日確認)
- どうぶつ弁護団:公式サイトのお知らせ(THE CHARITYへの出展、2026年8月26日掲載)(2026年10月13日確認)
- どうぶつ弁護団:賛助会員について(2026年10月13日確認)
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