W杯準備でモロッコの犬が大量殺処分「ハルク」俳優マーク・ラファロが世界へ訴え
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W杯準備でモロッコの犬が大量殺処分
「ハルク」俳優マーク・ラファロが世界へ訴え
2026年3月17日 ペトログ編集部
出典:Pets Magazine UK(2026年2月13日掲載)
📌 本記事の情報源
本記事は、英国のペットメディア Pets Magazine UK が2026年2月13日に掲載した記事をもとに、ペトログ編集部が日本の読者向けに独自の解説・考察を加えて構成したものです。原文の内容を事実ベースで参照し、文章は100%オリジナルで執筆しています。
🔗 原文(英語):Pets Magazine UK - Hollywood Star Mark Ruffalo Speaks Out Against Morocco's World Cup Dog Killings(2026年2月13日)
🔗 IAWPC公式:www.iawpc.org
殺処分ゼロを目指す世界の流れに逆行する、モロッコの現実
世界中で「殺処分ゼロ」を目指す動きが広がっています。日本でも、アメリカでも、ヨーロッパでも。しかし今、その流れとは真逆のことが起きている国があります。
映画『アベンジャーズ』シリーズでハルク役を演じ、アカデミー賞ノミネート俳優としても知られるマーク・ラファロが、InstagramとX(旧Twitter)で声を上げました。
テーマは──2030年FIFAワールドカップの開催準備を理由に、共催国モロッコで数百万匹の野良犬が殺されている問題です。
マーク・ラファロの発信内容
ラファロは2026年2月のSNS投稿の中で、W杯のために犬を大量に殺すことを「道義的な失敗」と表現し、ワールドカップは世界をひとつにする大会であるべきで、苦しみの上に成り立つべきではないと訴えました。そのうえで、人道的な解決策はすでに存在しており、暴力ではなく思いやりを選ぶことは私たち全員の責任だと呼びかけています。
https://www.threads.com/@markruffalo/post/DUoLE3xD2_g
(マーク・ラファロ氏の公開投稿より・2026年2月)
※本文は原文プレスリリースに記載されたラファロ氏の発言の趣旨をもとに、ペトログ編集部が日本語で再構成したものです。正確な原文表現はPets Magazine UK掲載の原文記事およびラファロ氏のSNS投稿をご参照ください。
この投稿は2,260万人のフォロワーに届き、「声を上げてくれてありがとう」「大きなプラットフォームで伝えてくれたことに感謝」といったコメントが数千件以上寄せられました。
W杯準備の裏側で──年間30万匹の犬が殺されてきた国
モロッコでは以前から、政府関係者による野良犬の殺処分が行われてきました。IAWPC(国際動物福祉保護連合)によると、W杯の発表前から年間約30万匹の野良犬が殺されていたといいます。
しかし2023年10月、FIFAがモロッコ・スペイン・ポルトガルの共催を発表して以降、事態は悪化。「W杯にふさわしい街」にするために殺処分が加速し、IAWPCは最大300万匹の犬が命を落とす危険があると警告しています。
CNNの2025年6月の報道では、現地住民が「武装した人間が夜中に路上で犬を撃つ」「毒入りの餌で犬を殺す」「子犬が蹴り殺された」と証言。これらの方法は世界のほとんどの国で禁止されているものです。
モロッコW杯と犬の殺処分問題──これまでの経緯
- 2023年10月 FIFAが2030年W杯のモロッコ・スペイン・ポルトガル共催を発表
- 2024年12月 FIFA総会で正式決定。IAWPC等が犬殺害の証拠を提出するもFIFAは対応せず
- 2025年2月 動物保護10団体がFIFAに公開書簡。ジェーン・グドール博士も署名
- 2025年6月 CNNが現地取材。射殺・毒殺の実態を報道
- 2025年8月 モロッコ政府が動物保護法案(Draft Law 19.25)を公開。しかし抜け穴多数と批判
- 2025年8月 世界規模の「抗議デー」開催。22カ国5万人以上が署名
- 2026年2月 マーク・ラファロがSNSで声明。2,260万フォロワーに問題を訴える ← 今回の記事
出典:IAWPC公式サイト、CNN報道(2025年6月)、Pets Magazine UK(2026年2月)をもとにペトログ編集部が作成
「殺すのではなく、共存する方法がある」──80以上の団体が訴え
IAWPCは、RSPCA(英国王立動物虐待防止協会)、Dogs Trust、PETAなど80以上の動物福祉団体で構成される国際連合体です。モロッコ政府とFIFAに対して、殺処分に代わる人道的な方法を求めています。
具体的には、① 全国規模のTNVR(捕獲・不妊去勢・ワクチン接種・リリース)プログラムの導入、② 実効性のある動物福祉法の制定と厳格な執行、③ モロッコが検討中の法案(Draft Law 19.25)の修正です。
殺処分の現状 vs 殺処分ゼロに向けて求められる対応
▶ 野犬への対応 モロッコの現状:射殺・毒殺・捕獲殺処分 / IAWPCが求める対策:TNVR(捕獲→不妊去勢→ワクチン→リリース)
▶ 法整備 モロッコの現状:Draft Law 19.25(抜け穴が多いと批判) / IAWPCが求める対策:国際基準に沿った動物福祉法の制定
▶ データ管理 モロッコの現状:体系的なデータなし / IAWPCが求める対策:全国的な犬の登録・追跡システム
▶ 国際連携 モロッコの現状:FIFAへの報告のみ / IAWPCが求める対策:RSPCA・Dogs Trust等80以上の団体と協働
※「モロッコの現状」はIAWPC公式サイトおよびCNN報道(2025年6月)に基づく情報です。モロッコ政府はこれらの報道内容の一部を否定しています。
IAWPC会長 レス・ワード氏の反応
IAWPC会長のワード氏は、ラファロが自身のSNSを通じてこの問題を広く発信してくれたことに深い感謝を示し、2,200万人のフォロワーを持つ著名人の発言がモロッコの実態を世界に知らしめる力になると強調しました。そのうえで、ワールドカップはスポーツと団結の祝祭であるべきであり、弱い立場にある動物たちの苦しみと結びつくべきではないと述べています。
※本文は原文記事に記載されたワード氏の発言の趣旨をもとに、ペトログ編集部が日本語で再構成したものです。正確な原文表現はPets Magazine UK掲載の原文記事をご参照ください。
ペトログ考察:殺処分ゼロを目指す日本が、この問題から考えるべきこと
ここからはペトログ編集部の独自考察です。モロッコの話は遠い国のニュースに聞こえるかもしれません。でも、「殺処分ゼロ」という目標に向かって歩んでいる日本だからこそ、見つめるべきことがあると思います。
「殺処分ゼロ」を掲げる日本にとって、他人事ではない理由
日本では、犬猫の殺処分数が2004年のピーク(約30万匹)から2023年度には9,017頭まで減少し、「殺処分ゼロ」を達成した自治体も増えています(環境省統計)。
しかし、殺処分される動物の約76%は猫であり、そのうち約6割が離乳前の子猫です。犬に比べて猫の殺処分問題はまだ深刻で、「殺処分ゼロ」の道のりは猫の問題をどう解決するかにかかっています。
モロッコでは犬が標的ですが、「人間の都合で動物の命を奪う」という構造は、日本の殺処分問題と根っこでつながっています。殺処分ゼロを掲げるなら、海の向こうで起きていることにも目を向けたい。それが、本当の意味での「動物福祉先進国」への一歩だと思うのです。
著名人の発信力が「殺処分ゼロ」の追い風になる
ラファロの投稿が2,260万人に届いたように、著名人の声は世論を動かします。
日本でも、ローラさんの保護犬啓発、坂上忍さんの「さかがみ家」、杉本彩さんの動物愛護活動など、著名人による発信が殺処分問題への関心を大きく広げてきました。サッカー選手やアイドルが保護猫カフェを訪れるSNS投稿がバズることも珍しくありません。
大切なのは、「有名な人が言ったから」で終わらせないこと。その声を自分のSNSでシェアする、身近な人に話す、署名に参加する──ひとりひとりが声のバトンをつなぐことで、殺処分ゼロは「誰かの目標」から「みんなの目標」に変わっていきます。
TNR──殺処分ゼロへの「世界共通の処方箋」は、日本にもある
IAWPCがモロッコに求めているTNVR(捕獲→不妊去勢→ワクチン→リリース)。これは日本でも「TNR」や「地域猫活動」として広がっている取り組みと、まったく同じ考え方です。
日本では多くの自治体がTNR活動への助成金制度を設けており、手術を受けた「さくら耳」の猫を街で見かける機会も増えました。神奈川県や東京都港区などは先進的な取り組みを進めています。
殺処分ゼロを実現するカギは、「殺す」のではなく「増やさない」こと。TNRはその最も実効性の高い方法として、いま世界中で「国際標準」になりつつあります。
でもまだ、自治体間の格差は大きく、活動資金やボランティアの不足に悩む地域も多いのが現実。モロッコに「殺処分をやめて人道的な方法を」と求めるなら、私たちもまず足元を見つめ、日本の殺処分ゼロをほんとうに実現するために動く必要があるのではないでしょうか。
殺処分ゼロのために、あなたにできること
この記事を読んで「何かしたい」と思ったら──
- ① この記事をSNSでシェアする(知ることが、殺処分ゼロへの最初の一歩です)
- ② IAWPCの署名キャンペーンに参加する(英語サイトですが、名前とメールで参加可能 → iawpc.org )
- ③ 地元のTNR・地域猫活動を調べてみる(「お住まいの市区町村名 + 地域猫」で検索してみてください)
- ④ 保護犬・保護猫の里親を検討する(ペトログでも譲渡会情報を発信していきます)
殺処分ゼロは、一人の声から始まる。
ラファロは2,260万人に声を届けた。あなたのSNSのフォロワーが10人でも、100人でも──その声は、確実に殺処分ゼロへの一歩になります。
📎 出典・引用元一覧
【記事ソース】
・Marie Carter-Robb, "Hollywood Star Mark Ruffalo Speaks Out Against Morocco's World Cup Dog Killings", Pets Magazine UK, 2026年2月13日, https://www.petsmag.co.uk/(参照 2026-03-17)
・CNN, "Why is Morocco killing thousands of stray dogs ahead of the 2030 World Cup?", 2025年6月20日, https://www.cnn.com/2025/06/20/sport/morocco-stray-dogs-2030-world-cup-spt(参照 2026-03-17)
・IAWPC, "Morocco Dog Campaign", https://iawpc.org/morocco-dog-campaign/(参照 2026-03-17)
【日本の殺処分・TNR 参考】
・環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」各年度統計, https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html(参照 2026-03-17)
・神奈川県「地域猫活動について」, https://www.pref.kanagawa.jp/docs/e8z/chiikineko.html(参照 2026-03-17)
・日本動物愛護協会「地域猫活動」, https://jspca.or.jp/localcat02.html(参照 2026-03-17)
📝 「ペトログ考察」はペトログ編集部の独自分析であり、Pets Magazine UK・IAWPC・マーク・ラファロ氏の見解を代表するものではありません。