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ブリーダーの犬を「保護犬」として販売した疑い——米ロサンゼルス市が団体を提訴、日本で迎えるときの確かめ方

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ブリーダーの犬を「保護犬」として販売した疑い——米ロサンゼルス市が団体を提訴、日本で迎えるときの確かめ方

米ロサンゼルス市の検事局は2026年10月27日、ブリーダーから仕入れた犬を「保護犬」として譲渡・販売したとして、保護団体を名乗る団体などを提訴したと発表しました。団体側は疑いを否定しています。

保護犬を迎えようと考えている人にとって、「保護犬」という言葉を信じて迎えた子が、実はブリーダーから買われた子犬だったとしたら、やりきれない話です。ロサンゼルスで何が起きたのかと、日本で保護犬・保護猫を迎えるときに確かめておきたいことを、これから家族を探す人の目線で順に見ていきます。

本記事の情報源

ロサンゼルス市検事局が2026年10月27日に公表したプレスリリースと訴状(10月22日付)、カリフォルニア州法の条文、現地の報道、日本の動物愛護法の条文と環境省の資料をもとに、日本の読者向けにまとめています。

原文:City Attorney Hydee Feldstein Soto Files Lawsuit Against Alleged 'Puppy Laundering' Operation(ロサンゼルス市検事局、2026年10月27日)

執筆:ペトログ編集部

目次
  1. ブリーダーの犬を「保護犬」として売った疑い——ロサンゼルス市検事局の訴え
  2. カリフォルニア州ではペットショップで犬を売れない
  3. 日本では保護犬の譲渡はどう決められているか
  4. 日本で保護犬・保護猫を迎えるときに確かめたいこと
  5. さいごに

ブリーダーの犬を「保護犬」として売った疑い——ロサンゼルス市検事局の訴え

市検事局が訴えたのは、ロサンゼルス市内のスタジオシティ(Studio City)に店を構えていた保護団体を名乗る法人と、関連する2つの会社、その代表者(CEO)です。訴えはロサンゼルス郡の裁判所に起こした民事訴訟で、刑事事件ではありません。市は発表の題名で、この手口を「パピー・ローンダリング」と呼んでいます。お金の出どころを隠す「マネー・ローンダリング」になぞらえた言葉です。

訴状で市が主張している主な内容は、次のとおりです。

  • パピーミル(大量繁殖業者)を含むブリーダーから、仲介業者やブリーダーのオークションを通じて犬を買い、「保護犬」として譲渡・販売した。数は数百、もしかすると数千頭にのぼる
  • 譲渡費用は通常650ドルか850ドル(2026年4月時点の記録)で、代表者は市の検査官に、1頭1,500ドルになることもあると認めた
  • 犬を劣悪な環境から救い出したと偽ったり、すぐにお金が集まらなければブリーダーに殺されると訴えて寄付を集めたりした
  • 譲渡されて数日から数週間で死んだ犬が多数いる
  • 2025年5月以降は非営利団体としての免税の資格を失っているのに、寄付は控除の対象だと表示し続けた

市は裁判所に、こうした行為の差し止め、購入者へのお金の返還、制裁金を求めています。訴状が求める制裁金の下限を足すと730万ドルです。ただし、これは市の主張で、裁判所の判断はまだ出ていません。代表者は報道各社に対し、疑いは事実ではなく、裁判で反論すると話しています。

出典:ロサンゼルス市検事局(2026年10月27日発表)と訴状(2026年10月22日付、事件番号26STCV33334)、NBC Los Angeles、CBS Los Angeles

カリフォルニア州ではペットショップで犬を売れない

市が「保護犬」という呼び方を問題にする背景には、カリフォルニア州とロサンゼルス市の厳しい決まりがあります。

カリフォルニア州では2021年1月から、ペットショップが犬・猫・ウサギを売ることが禁止されています。ペットショップにできるのは、公的な保護施設や保護団体に譲渡会の場所を提供することだけで、その場合も、動物は不妊去勢済みで、費用は合計500ドル以下という条件付きです。2026年1月からは、仲介業者が1歳未満の犬や、猫・ウサギを売ることも禁じられました。ロサンゼルス市も2013年から、ペットショップでブリーダーの犬・猫・ウサギを売ることを条例で禁じています。

州法が定める「保護団体」は、非営利の免税団体で、動物の救助と譲渡を主な活動とし、繁殖をせず、ブリーダーや仲介業者にお金を払って動物を手に入れない団体です。ブリーダーから犬を買いながら保護団体を装うことで、こうした規制を逃れようとした、と市は主張しています。

保護施設を装って動物を売る店を規制する動きは、ほかの国にもあります。韓国は2026年10月27日に公布した改正動物保護法で、いわゆる「新種ペットショップ」も規制の対象にしました(施行は2027年10月28日)。

出典:カリフォルニア州 Health and Safety Code §122354.5(2021年1月1日施行)、同 §122365.1(2026年1月1日施行)、ロサンゼルス市条例 §53.73、韓国農林畜産食品部(2026年10月26日の報道資料)

日本では保護犬の譲渡はどう決められているか

日本の動物愛護法は、動物を売る仕事(第一種動物取扱業)と、お金もうけを目的とせずに譲渡する活動(第二種動物取扱業)を分けています。カリフォルニア州と比べると、次のようになります。

項目カリフォルニア州日本
ペットショップでの犬猫の販売禁止(2021年1月から)第一種動物取扱業の登録を受ければ販売できる
保護団体の決まり非営利の免税団体で、救助と譲渡を主な活動とし、繁殖をせず、ブリーダーや仲介業者から動物を買わないことが条件お金もうけを目的とせず、人の住まいと分けた施設で犬猫などを10頭以上扱うなら、第二種動物取扱業として都道府県などに届け出る
譲渡の費用ペットショップの場所で譲渡するときは合計500ドル以下飼育費用やワクチン代などを請求される場合もある(環境省)

注:日本の欄は、動物愛護法 第10条・第15条・第24条の2の2・第24条の4、同法施行規則 第10条の5、「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」第3条、環境省の普及啓発用パネル「保護犬や保護猫の譲渡を考えてみましょう」による。カリフォルニア州の欄は、Health and Safety Code §122354.5・§122365.1 による。

第一種と第二種を分けるのは、お金もうけを目的としているかどうかです。環境省の資料での位置づけは、第一種が「営利事業者(ペットショップ、ブリーダー、動物園等)」、第二種が「非営利事業者(動物保護団体等)」です。さいたま市は、動物取扱業の営利性について、実費として少額を受け取り、その額が領収証や明細書で確認できる金額を超えない場合は、「金銭の授受があっても営利性はない」とみなされると説明しています。実費の範囲の譲渡費用を受け取ること自体は、非営利の活動と矛盾しません。

第二種動物取扱業者には、譲渡の前に、品種や飼い方などを譲渡先に説明する決まりがあり、年齢や病歴などは、分かっている場合に説明するよう努めることになっています。一方で、第一種(販売など)の登録簿は誰でも閲覧できるのに対し、第二種には届出の一覧を公開する決まりがありません。

出典:e-Gov法令検索「動物の愛護及び管理に関する法律」、環境省「第二種動物取扱業者の規制」、環境省「動物取扱業に係る動物の適正な飼養管理に関する制度等(概要)」、さいたま市「第二種動物取扱業について」、e-Gov法令検索「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」(第3条)

日本で保護犬・保護猫を迎えるときに確かめたいこと

日本では、令和6年度に全国の自治体が引き取った犬は1万7,399頭で、同じ年度に新しい飼い主に譲渡された犬は8,797頭でした。保護犬を迎えることは、こうした命をつなぐ選択です。今回の件は、保護犬を迎えること自体を疑う話ではありません。

環境省は、譲渡の流れや書類、条件は自治体や団体ごとに違い、飼育費用などを請求される場合や、年齢や病歴などの情報がない場合もあるので、事前に確かめるよう呼びかけています。迎える前に、次のことを聞いておきましょう。

  • その子がどこから来たのか(保健所や動物愛護センターから引き取った子か、飼い主が手放した子か、など)
  • 費用の内訳(ワクチン、不妊去勢手術、マイクロチップなど、何にいくらかかったか)
  • 年齢や病歴、ワクチンの接種状況、性格など、その子について分かっていること
  • 団体が第二種動物取扱業の届出をしているか(人の住まいと分けた施設で10頭以上を扱う団体の場合)

出どころや費用の質問に、はっきり答えてくれるかどうかも、確かめておきたい点です。自治体から直接迎える道もあり、環境省の「収容動物検索情報サイト」から、各地の保健所や動物管理センターなどで新しい飼い主を待つ犬猫の情報にたどり着けます。

収容動物検索情報サイト全国の自治体が保護・収容している犬猫の情報ページにつながる、環境省のサイトです。環境省

出典:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」(令和6年度)、環境省 普及啓発用パネル「保護犬や保護猫の譲渡を考えてみましょう」

さいごに

ロサンゼルスの件は、まだ市の訴えが出たばかりで、裁判で何が事実と認められるかはこれからです。ただ、「保護犬」という言葉が売るための看板として使われた、と市が主張している出来事でもあります。

保護犬・保護猫を迎えたい気持ちを大切にしながら、その子の出どころと費用を確かめてから家族に迎えてください。続報があれば追記します。

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